クリスマスに出会い喫茶に行った【システム紹介・体験談】
12月24日。クリスマスイブ。
浮かれた街を余所目に、アラサー女の私は一人新宿にいた。
何かに立ち向かうような心持ちで
まずはこの場所に向かった。
出会い喫茶だ。
システム紹介
女性目線のレビューは少ないので、気になっている人はぜひ参考にしていただきたい。
①登録
受付を済ませたら、はじめに会員登録のためプロフィールなどを記入する。
身分証を提示しなくてはいけないので個人情報はごまかすことはできない。
干支の欄があるのが水商売っぽい。
ただ、登録とは別に男性閲覧用のプロフィールがあるのでそこで偽名を使うことは可能。
写真も撮影し、男性閲覧用に使用される。ここで注意したいのは一言断りをいれないと、モザイクをかけて店のHPに出勤者として勝手に掲載されてしまう。(私は後日気づき消してもらった)
登録料などの料金は一切かからない。
②待機
女性ルームの中は雑誌・テレビ・漫画、お菓子や飲み物などが揃っていた。
場所は全然違うが、献血ルームの休憩スペースと同じラインナップだ。
一辺がマジックミラーになっており、男性ルームからこちらの様子が見えるようになっている。
めちゃくちゃ怪しい水があった。味は普通だった。
注意書き。「カラオケ店で何かあったときのためにインターフォンの場所を確認しておきましょう」「隠し撮りのレンズがないか確認しましょう」などポップなタッチとは裏腹に、これから訪れる危険さを事細かに物語っている。
③トーク
男性から指名が入るとスタッフから呼ばれる。
待合室から移動し、男性のプロフィール用紙とストップウォッチを渡されトークルームに入ると、その男性が座って待機している状態である。
プロフィール用紙で男性が何を望んでいるのか少しわかるようになっている。
↑下記「 当店は会員様同士の純粋な出会いを提供させていただく場」らしい。
ソファ席はとても狭い。
一人当たりトーク時間は10分間となっており、ストップウォッチで計る。
ここであらゆる交渉をしていき、交渉が成立すると退店となる。
ちなみに何人かに指名を受けた場合、全員と話をしたあと比較してから男性を選ぶということはできない。
女性から指名をすることはNGなのだ。
交渉成立しなかった場合は、女性ルームに戻ることになる。
④退店
交渉が成立したら、その旨をスタッフに伝え、再度女性ルームで待機。
数分でスタッフに呼ばれ、男性は店舗が入ったこのビルの下で待っているという。
二人で退店して怪しまれないように配慮されたシステムだ。
ビル下で男性と合流し、その後の行動は二人に任せられている。
体験談
「お姉さん、ここどういう店かわかってる?」
緊張感と恐怖心を殺して出会い喫茶に入店すると、愛想のいい30代くらいの太った男性スタッフがカウンターで迎えてくれた。
店内にはglobeのSWEET PAINが大きめの音量で流れている。
早速受付をする。
スタッフ「お姉さんきたことあるよね?」
私「いや、ないです」
ス「はじめて?」
私「はい」
ス「まじで?」
クリスマスという意識があったのか、スタッフは驚いた表情をし、「なんで今日に限って?」という言葉を飲み込んでいるようにみえた。
ス「お姉さん、ここどういう店かわかってる?」
私「…少し調べました」
マジックミラーの世界
登録の手続きを済ましたあと、スタッフはまるで遊園地にいるアトラクションのお兄さんのように優しい口調で店のシステムを説明してくれる。
「男性とのトークルームで、連絡先交換しようとか言われたり、触ってくるようなことがあったら、禁止されてますのでスタッフに遠慮なく言ってくださいね」
お店は女性の味方だ。怖がっていた気持ちが少し穏やかになった気がした。
何かあればすぐにスタッフに言えばいい。
女性ルームにて待機。
クリスマスの日に女性はほかにいるのか?と思っていたが、私以外に2人いた。
スタッフと軽く話しているので常連のようだ。
もう一人はケータイをいじりながら耳を塞ぐようにイヤホンをしていた。
壁一辺がマジックミラーで覆われた不思議な空間にきょろきょろあたりを見回した。
マジックミラーはただの鏡にしか見えない。
ついつい前髪を整えたりしてしまい、男性視点を想像するとかなり間抜けだ。
実態は向こう側から男性に見られている。
そう頭ではわかっているつもりが、どんな人がどれだけみているのか全く分からない変な感覚だ。
娯楽も軽食も揃って充電もできて、だらだら過ごすには申し分ない。
だが緊張感からか、お菓子も飲み物もまともに口に入れられなかった。
テレビを眺めても内容が頭に入ってこない。
10分ほど経ったあと、スタッフに呼ばれた。
「お姉さん、男性からお話ししたいって希望がきてるからね。」
新規だと声がかかりやすいらしい。
トークルームでの説明を受け、トークルームの赤いカーテンを開けた。
「こんにちはー」
薄暗い中、初対面の男性と狭いソファー席に並んで座る抵抗感から
間に鞄をがっしりと置いた。
もじもじしながら「…ホテル」
トークルームへ移動し、赤いカーテンを開けると、男性が奥に座っていた。
目が相当悪いのだろう。レンズの厚さが5mm以上あり、虫眼鏡を目に当てたようなレンズ越しの瞳は横に膨張している。
年齢は27歳というが、見た目は30半ばだ。
髪は角刈りで身体はひょろっとしている。失礼だがこれは「キモい」に分類される人だ。
年齢、来店回数など一通り話したあと聞いてみた。
私「今日クリスマスイブじゃないですか。なんでここに?」
男「そうなの、いないもん。相手いないの。」
女々しい口調で答える。
男「イブでいい出会いがないかなーと思ってね」
それで文字通り出会い喫茶か。
私「前回の利用のときはどうでしたか」
男「めっちゃはずかしいですけど…はずかしいな…」
もじもじしはじめ、にやついた顔でこういった。
男「…ホテル」
うわ。初対面でキモい男性からホテルの話を聞くのはキツイ。
この人がホテルに行くところなんて考えたくもないのに頭にちらついてしまう。
男「まぁねホテルはね、今日はクリスマスだしね…。」
男はホテルへの展開を匂わせたが、私にとって、出会い喫茶の目的は食事をすることだ。
タダでごはんが食べることが自分へのミッション。それが精いっぱいだ。
丁重にお断りをすると「せっかくジャンケンに勝ったのにな」と言われた。
聞くと、誰が一番はじめに私と話すか男性同士でジャンケンをしたらしい。
小学生の男子がかわいい女の子を目当てに揉めているような、そんな対象に今更とはいえなるなんて。
一瞬高揚感があったが、こんな場所にこないと味わえなかったんだと、すぐに虚しさに浸食された。
「軽いやつって何ですか」
こんな形で次々と男性と話していく。
話題は、来店の動機、利用回数、普段の生活、年齢、今回の目的などだ。
中でも一番焦りを感じたのは6人目のこの人だ。
眼鏡をかけた50代で、波平のようなサイドにだけ髪が残った禿げ方をしている。
仕事先の人に似ていて妙な気分だ。
私「普段は何しているんですか?」
男「ツムツムですね」
ふざけたボケを返してきた。
私「あーはっきり言わなきゃダメですね。仕事はなにしているんですか?」
男「就活中です」
こんな調子であらゆる情報をはぐらかす。
私「前来店したときはいかがでしたか?」
男「あんまり覚えてないんですけど、○○さん(私)超かわいいんで」
私「無理やり話変えてきましたね…!」
男性は低く落ち着いた声で交渉してくる。
男「だからエロいの入っていいのかなって。まぁ少しですね。」
私「そのご希望には応えられないですね…」
男「大丈夫じゃない?方針変更すれば…憲法改正するわけじゃないし。初対面だからエッチするのは、あんまりよくないかな…と。」
私「はぁ…」
男「ちょっと軽いやつ」
私「軽いやつって何ですか?」
男「たとえばね…お口のやつとか…」
初対面でエッチはできなくても口でやるくらいならいいでしょう、というロジック。
とんでもない。
その後も私がいくらハッキリ断っても男性はなかなか諦めようとはしない。
男「ほんとだめですか?ほんのさらっと、さらっとだから!時間にして30分もかからないと思うよ。20分もかからないかな」
男「時間にしてすごい短いですよ。時間に換算すると、お互いに有益じゃないかなと思うんですけど」
男「大それたものではないと思いますよ。ごはん食べる感じでさらっと」
あまりのしつこさに逃げられないような焦りを覚えた。
無視して部屋から出てしまおうか。
その割には「名前なんだっけ」と私の名前を覚えられない。
おじさんの記憶力というのは残念である。
「何度聞いても名前が覚えられないっていうことはその程度なんですよ」と諭すが、
ストップウィッチが鳴り響くまで交渉が終わることはなかった。
茶飯交渉成功!
8人目。利用するのは3回目だという50代後半男性。
スーツ姿で恰幅がよく、四角い眼鏡に整えられた白髪の髪型という身なりで、プロフィールには真相は不明だが「社長」と書かれている。
男「おこづかいは?」
女「せっかくなので千円くらいはほしいです!」
男「千円あげるんだったらさ、カラオケでメニューあるじゃん?カラオケにしない?」
食事をするのに密室のカラオケを選ぶ。
これは危険だ。口調は柔らかいが怪しい。
私「カラオケじゃなくて普通にごはん屋さんがいいです」
男「でもカラオケやだっていろんなメニューあるじゃん。いやなの?」
私「いやー、カラオケは…いいです。じゃあ千円なしでもいいです」
もういい。おこづかいは諦めた。
私「でも私そういう行為はないですよ。それでもいいですか」
男「うん」
私「ほんとですか」
ついにきたか!
男「そういうのダメな理由はなんなの?かわいいコみんなそういう希望だからさ」
私「え、そうなんですか」
男「君がいやな理由ってなに?」
私「そういうつもりで来てないからです。ごはん食べて、ありがとうございます、で終わります。それでもいいですか」
しっかりと再確認をする。
男「うん、いいよ」
交渉成立!!やった!!
男「エッチはしないけど、下ネタ話すくらいならいいんでしょ?」
…まぁそれくらいは対応しようか。
8人も話した疲労感と後の予定もあったので
これ以上時間をかけられる余裕はなかった。
計8人と話してわかったこと
そのほかの男性の年齢層は20代1人、30代2人、40代2人、50代3人。
食事のみOKは8人中2人だった。
クリスマスでも意外といつも通り男性はいるようで、常連らしい女性がスタッフとそのように話していた。
男性はトーク時間10分まで粘る人もいれば、ごはんだけと伝えると「わかりました。じゃ」と30秒で切り上げる人もいた。
ある男性曰く、おこずかいの相場は3~5千円。
女の子によっては、ご飯だけだったらいらないよっていう人もいるらしい。
一方でごはんだけでも1万円くれっていう女の子もいるという。
2人目の男性から「俺はね、もうワリキリ!」と言われ、「…ワリキリ!!」と口に出して驚いてしまった。
昔読んだ援助交際の漫画で出てきた用語だ。
ワリキリという言葉をリアルで聞いたのははじめてだった。
出会い喫茶はやはりそういった行為を及ぶ温床になっているようである。
こういう場だから、男性を咎める立場でもないのはわかっているが、普段のコミュニケーションではありえない会話が繰り広げられて目を丸くするばかりだった。
クリスマスに出会い喫茶を利用する男性の哀愁
交渉が成立した男性とビル下で待ち合わせ。
「よろしくお願いします」と年の離れた男女が改めて挨拶をする様子は、通りがかった人が不審に目をやるのも無理はない。
男性は程よくおしゃれなカフェに連れて行ってくれた。
クリスマスということもあり、若いカップルしかいない。
あまりにも年が離れていて不自然な私たちは明らかに浮いていた。
ドリンクバーで周りにカップルがいる中、男性はまじまじと私の全身をみて「いやーうれしいなぁ。こんなかわいいことご飯できて~」と発言。
その瞬間、変な空気になったのが肌身でわかった。カップルの目が痛い。
なにでかい声でそんなこと言ってるんだ!余計怪しいじゃないか。
私はうまく笑うことができず苦笑いした。
食事しながら男性は「僕もトマトが好き!」と他愛のない共通点がとても嬉しそうだった。
実家暮らしで独身。社長ということで、経営や社員の話をしてくれた。
社長というが決して派手な印象はなく、女性に不器用そうで恐らく若いときもモテてはいないような印象だ。
そこであえて聞いてみた。
私「今日はクリスマスじゃないですか。何かいい思い出ありますか?」
あくまでも自然に聞いたが、男性の表情が一気に暗くなり、
男「…なにもないかな」と小さく言って無言になった。
急に重い空気になった。ここまで重くなるとは。
取り繕う余裕もないほど何か抱えているのだろうか。
40代のころは、ブラック企業のような働きぶりで、趣味等はなかったという。
最近はカメラ教室に通ったり、趣味をみつけている。
さっきのお店に行くのもそんな感じかな、と教えてくれた。
食事を終えてお礼をし、駅へ向かう途中で解散した。
食事中にまたカラオケに誘われたことを除いては、問題のない時間だった。
交渉では「下ネタの話くらいいいでしょ?」と聞いていたのに一切そんな話はなかった。
無事ちょっといい食事をタダで平らげて、クリスマススケジュール1つ目のミッションは達成した。
まだ昼の13時。次は結婚相談所だ。
総評
費用:0円(うまくいけばプラス)(※女性の場合)
危ない場ではあるが、セクハラ忍耐と断る力に自信があれば大丈夫。
スタッフはとても優しく、女性ルームの環境も充実しているので使い方次第。
(※一回行った限りなので保証はできません)
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