つまみぐい人生100

ドン引き覚悟のネタを中心にご提供

セレブ街の意外な一面を探したら意外過ぎた

 

 タワーマンション、高級飲食店、洗練された雰囲気、上品な人々…

そんなセレブ街の街並み。

 

正直、ミスタードーナツを100円の時しか買わないような庶民の私にとって居心地が悪い。

足を踏み入れた途端、場違いな場所にきてしまったと逃げ出したくなる。

 

…でも、もしかするとあのセレブ街にだって私の知らない意外な一面があるのでは?

 

そんな思いでセレブ街へ向かった!

 

 

↓画像を選ぶと読みたい記事にジャンプします 

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恵比寿の全然恵比寿顔じゃない人 

<セレブ街の意外な一面〜恵比寿編〜>

 

恵比寿。

住みたい街ランキングで2年連続一位となった庶民の羨望を浴びる街である。

 

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恵比寿といえば恵比寿ガーデンプレイス。写真を撮ると手をつなぐカップルが自然に写り込む。

 

そんな恵比寿に

 

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電波物件があった!!

 

ある意味素通りできない恵比寿スポット

 

セレブ街の緊張感とは全く違う意味で足がすくむ。

ここはほんとに恵比寿なのか…!?

 

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疑いたくもなるが恵比寿駅から徒歩1分という立地。

駒沢通り沿いで強烈な退廃感と近寄ってはいけないオーラを放っている。

看板を見る限り『玉川屋』というたばこ屋だったようだ。

中に人はいない。

 

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 中も落書きで荒れ放題。

 

 

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「強引に合カギを作らせた仲間たちへ。

家内をいじくり回すのはやめて下さい。

あ な た で す よ 」

 

こわーーーーーーーーーーー!!

 

 

…何かあったに違いない。

 

このままではただただ不気味なだけなので、聞き込み調査をすることにした。

 

 

電波物件聞き込み調査

 

聞き込み調査をしてわかったこと。

 

・張り紙は1、2年前から張られるようになった

 

・家主は70代のおばあさんで、玉川屋は3世代続く煙草屋だった

 

・近所の人に「馬鹿野郎」と罵声を浴びせたり、常にブツブツ言っている

 

・もともとは穏やかな方だったが、数年前に母親を亡くし、相続争いで揉めたあたりから、攻撃的な性格に豹変してしまった

 

・不動産屋から物件を買い取りたいという依頼が頻繁にあったり、土地の一画を立ち退きして高層ビルを建築する案もあるが、とにかく玉川屋さんがいる限りはどうしようもできない

 

家主の住所(←!!

 

 

住所!!

やばい、わかってしまった…。

 

話を聞いた人からは

「関わらないほうがいいですよ」

と言われたが…。

 

 このままでは玉川屋さんが言われっぱなしだ。

当の本人から事情を聞く必要があるはず…!

 

 

行 く し か な い 。

 

 

電波物件の中の人に会う

教えてもらった住所のドアの前に着くと郵便物が詰まっていた。

はみ出ている封筒から「お持ちの物件について出店したいので話ができないか」という旨が書かれているのが見えた。

 

間違いない。玉川屋さんの家主だ。

 

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ーーピンポーン

 

「……」

 

あれ、留守かな?

 

  

――ピンポーン

  

物音が聞こえる!…くるぞ…!

 

 

家主「あ!?」

 

開く気配のないドアの向こうから年配の女性らしき声が聞こえた。

 

「すみませんーちょっとお話聞かせてもらえませんか」

 

 

家主「なんだい!!? もっとはっきり大きな声で言え!!!」

 

 

いきなり怒り口調…!

自己紹介をしている暇はなさそうだ。

単刀直入に聞いた。

 

「あの張り紙どういう意味があるんですか?」

 

 

家主「どこにある張り紙だい!!?」

 

 

「玉川屋さんです」

 

 

家主「なぁにを言ってんだこの!!!てめぇがよく知ってんじゃねぇか!!!」

 

 

誰かと勘違いしているようだ。「なにかされたのですか」と、言いかけたところで

 

 

家主「人殺し!!!」 

ガン!!(ドアを叩いて威嚇)

 

家主「人殺し!!!」

ガン!!

 

家主「人殺し!!!」

ガン!!ガン!!

 

 

こ、殺される………!!!!!

 

命の危険を感じてその場から一目散に逃げ出した。

 

結局、本人から事情を聞き出すことはできず、ただ怒らせてしまったようで不本意な結果なってしまった。相当壮絶な事情が渦巻いているのだろう…。

 

しばらくしても「人殺し」という言葉が頭から離れず、精神的にかなり消耗してしまった。

 

やっぱりここは恵比寿だ

 

玉川屋さんの一件で涙目になりながらも、セレブ街の意外な一面を探し続けた。

すると、恵比寿の人が思わず隠したくなるようなゴチャゴチャした場所が駅前で見つかった。

 

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薄汚れたビル、丸見えの配管、落書き、ゴミ収集所…。

野良猫もいてますます混沌としている。

 

 

早速写真撮っていると

 

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!?

 

 

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なんと奥に進むと恵比寿様が!!!

 

え!!隠れ恵比寿様なんてあるの!!?

 

らしくない場所を狙ったのにちゃっかり恵比寿様が入り込むなんて、さすが恵比寿。

 

…ハッ!

これは電波物件に疲れた私への隠れアイテムなのでは…?

 

そんな気がしてありがたみを感じざるを得ない。

恵比寿様の笑顔にパワーをもらった。

 

 

    

青山の高級感に疲れたら

 <セレブ街の意外な一面〜青山編〜>

 

青山と言えばハイセンスなブランドショップ、芸能人も通う美容院、おしゃれなカフェなど流行の最先端をいく街。

 

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おしゃれを追及するがあまり、ビルの形がどうも素直じゃない。

 

そんな目まぐるしい空間と打って変わって、

 

 

 

 

ここには流行と無縁の時間が流れていた。

 

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都営青山北町団地という別世界

 

青山通りの裏に入ると知らない青山の姿が広がっていた。

 

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年季の入った建物。荒廃した草木。

すごい…!!

ノスタルジックな世界にどんどん引き込まれていく。

 

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高層でもなく、高級でもない。タワーマンションと真逆だ。

けれどタワーマンションに負けないくらい魅力を感じる。

 

 

ここは都営青山北町団地。

お世辞にも高級感があるとは言えない一帯だ。

すぐそこには高層ビルやブランドショップが並んでいるのに…。

敷地内に足を踏み入れた瞬間、まったく別の場所にワープしたような感覚を覚え、思わず息をのんだ。

 

 

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増築されたせいか配管が剥き出し。幾何学的美しささえ感じる。

 

 

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でもれっきとした青山物件。

「青山に住んでます!」と言えるのだ。

 

 

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このおばあちゃんも青山在住なんだよな。

 

 

 

 

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一部は解体作業が進められていた。

 

解体工事のお知らせ

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アスベスト…!

青山にくるとよくわからないブランドの横文字がばかり並ぶが、アスベストならわかる…。

 

 

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ツタつたい放題。

 

 

 

住宅出入口も生活感があっていい。

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ピンクビラお断り!最近ピンクビラなんて見ないけどなぁ。

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地デジ化…こんなキャラいたなー。懐かしい。

…ってここは時間が止まっているのか?

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よれよれのお知らせ。

 

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ん…?

 

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OK」「分かりました♡

 

なんか和んだ。

ここは人間味あふれる場所でいいなぁ。

 

 

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都心ではほとんどみない雑草や

 

 

 

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意識高い系のよくわからない横断幕もある。

 

 

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猫と戯れる男性。哀愁に惹きつけられる。

 

青山のイメージががらりと変わった。

 

セレブ街というのは余計なものを排除しているせいかどうしても生活感がない。

でもここは『生』を感じる場所だ。

ボロボロに傷んだ建物もボーボーに生えた雑草も生きてきた証。

 

青山がキラキラした街でいられるように、青山の生活感をこの場所が引き受けているような気がした。

 

青山でディナー?かおたんラーメン

 

もう一つの注目すべきスポットは、青山墓地すぐに近くにあった。

 

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かおたんラーメン。

青山に似つかわしくないバラックのお店…!

 

屋根から延びる煙突や電球の明かりがさらに青山のイメージを遠ざけてくれる。

なんちゅう迫力…

青山のハイソなイメージが溶けていくようだ。

 

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見ての通り青山のお店。

「青山でランチした!」「今日は青山でディナー!」と言えるのだ。

 

一見入りにくく思うかもしれないが、知る人ぞ知る有名店らしい。

 

 

 

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ラーメン750円、餃子600円。

 

ラーメンはメンマ、もやし、さやえんどう、チャーシューとバランスが取れた具材にはニンニクと玉ねぎのチップが合わり、クセになる味だ。

醤油ベースのまろやかなスープと細麺がよく絡まり、あっという間に平らげてしまう。

 

餃子もここの売りのメニュー。

たっぷりと詰められた具はキャベツ、豚肉、ニラ、にんにくが練りこまれていて満足感があった。

 

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店内は屋台のような雰囲気。茶色くなったメニューの張り紙がとても似合う。

 

 

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お店の方に聞いてみた。

 

「青山という土地柄、お金持ちの人もくるのでは?」

 

店員「そうですね、100万円くらいの札束持っている人もきますね」

 

札束!?す、すご…!!

青山の人はいつも札束を持ち歩いてるのか…!?

 

「最高金額のお会計ってどれくらいでした?」

 

店員「4人でお会計2万円っていうこともありましたね。」

 

ラ、ラーメン屋に2万円!!?

てことは1人5千円!?

 

ラーメン70杯食べれるけどどういうこと!?

し、信じられん…。(恐らく高価な酒代かな…?)

 

やっぱ青山にいる人間は文字通りケタが違った…!!

ラーメン替え玉をケチってた私が恥ずかしいわ!

 

    

自由が丘育ちの野菜

<セレブ街の意外な一面〜自由が丘編〜>

 

 

自由が丘。

東急東横線の上品なイメージをけん引する存在で、街路樹と石畳が美しい遊歩道には高級スイーツ店やハイセンスな雑貨店が揃い、セレブママの憧れの地でもある。

 

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自由が丘のベネチアことラ・ヴィータ。ここはほんとに日本なのか…?

 

自由が丘の緑は美しい街路樹だけじゃない。

 

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畑があるのだ!

 

 

高級住宅に囲まれる畑

 

 

意外な情報を手に入れた。

 

「自由が丘には畑が多い」

 

いやいや、嘘でしょ!信じられない!

あんなオシャレな場所に畑なんて…。

 

しかし、調べてみると…どうやら本当らしい。

 

区役所を通じて紹介してもらった栗山農園さんは、自由が丘の交差点すぐにあるようだ。

(※栗山農園さんは正確な住所でいうと目黒区八雲)

 

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農園があると聞いて向かったはいいが、未だに信じられない。

 

 

「こっちこっち!」

大きな麦わら帽を被った男性に手招きされて向かうと、そこには

 

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畑だ…!!ほんとに畑があった!

セレブ街にこんなふかふかな土が広がっているなんて!

駅前にある遊歩道の石畳の記憶が飛んでいきそうだ。

 

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とても気さくな栗山農園の鈴木さん。

 

あいにく、3月の時期はオフシーズンなのであまり野菜は生えていないが、

 

それでも小松菜や

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春キャベツが元気に育っていた。

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こちらはジャガイモ畑。ちょうど今朝芽が出たばかりだ。

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「土を盛り上げた山の中央に種を植えるのに、どうしてもその位置からずれて太陽の方向に生えるんだよね。」

鈴木さんはやんちゃな子どもをかわいがるように笑った。

 

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太陽に向かって気持ち良さそうに芽吹く緑の葉を見ていると、

私もいち生き物として、太陽の光や土の香りが心地良いということを思い出させてくれた。

 

 

他にも、なす、ゆず、きゅうり、ピーマン、いんげん、ショウガ、大根、ブロッコリー、みかん、落花生…年間を通して25種類以上の野菜・果物が育てられている。

 

「セレブな自由が丘でそんなに野菜が採れるなんて思いませんでしたよ!」と興奮気味に感想を述べると、

鈴木さんは「自由が丘なんて田舎だよ!」と笑い飛ばした。

 

そんなセリフ、誰が言えただろうか…!

『自由が丘は田舎』

『自由が丘は田舎

『自由が丘は田舎

…何度唱えてもしっくりこない。

 

民度が試される無人直売所

 

畑だけでなく無人販売所まであった。

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こ、これは…!

錆びた金庫のお金入れがある…!

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まぎれもなく無人販売所だ。

ついさっき「自由が丘なんて田舎だよ」という鈴木さんの言葉を全否定したが、思わず実家の田舎を思い出してしまった。

 

 

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「おー入ってる入ってる!」と、お金を確認する鈴木さん。

やはり無人のため、お金や商品を置くことに不安になることもあるようだ。

だが治安の良さ、人の良さがある街だからこそ成立するのだろう。

 

しかもこの辺には本当に畑が多いらしく、同じ通りでも直売所が3件あるという。

 

自由が丘の人は、なにも成城石井や東急ストアだけで野菜を買っているわけではないのか…。

「そこの畑で採れた野菜なのよ」と食卓で語られるのをイメージすると、なんだか急に親近感が沸いた。

 

野菜までオシャレか!

 

見慣れない野菜があった。

 

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「これはなんていう野菜ですか?」

 

「〇✖$△!&☐だよ」

 

「え!?すいません、もう一回言ってもらえませんか?」

 

「ステックセニョール」

 

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ス、スティックセニョール!?

 

初めて聞いた…。

自由が丘にふさわしいオシャレネーミングに圧倒され全く聞き取れなかった。

やっぱりおしゃれな人々に合わせて作っているのだろうか…?

 

ブロッコリーの茎の部分だけの野菜だよ。

ふつうのブロッコリーはつぶつぶの花の部分を食べるから一回収穫して終わり。

でもスティックセニョールなら茎だからカットしてもまた伸びてきて何度も収穫できるんだ」

 

意外にもコスパ重視の結果だった…!

好感がもてる。

 

鈴木さんはありがたいことに、そのスティックセニョールを分けてくれた。

 

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自由が丘で採れたての野菜!!

さっきまでそこで生えてた野菜が目の前に!

 

 

家に帰り、さっそく採れたてのスティックセニョールをいただく。

 

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 茹で上がった湯気から緑の香りが広がる。

シンプルにマヨネーズをつけて

いただきます!

 

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美味しい…!!

ほのかな甘みがあって、歯ごたえと柔らかさがちょうどいい!

これが野菜本来の味と香りというやつか…!

 

自由が丘は高級スイーツだけでなく採れたての野菜の甘さも味わえる場所だった。

 

 

    

腐っても麻布

 <セレブ街の意外な一面〜麻布編〜>

 

麻布。

 

セレブ街の中でも格上で、庶民がちょっと贅沢しようと思っても選択肢にさえ上がらない、遠い存在だ。

 

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ヨーロッパみたいな石畳の広場がある。しかもたまたま写った車が外車。

 

おしゃれな店が並ぶ中、路地に入るとこじんまりとした古めかしい建物が現れた。

 

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「十番のおばちゃん」という名のお母さん

場所は麻布十番駅から徒歩5分。

「十番のおばちゃん」という名の定食屋がある。

 

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この〝下町の飲み屋〟感はなんだ!?

「十番のおばちゃん」と名乗っているぐらいだから間違いなく麻布十番なのだが、店名といい手書きのホワイトボードといい、その割には緩すぎる。

 

 

一方でフリーWiFiが完備されているあたり抜け目ない。

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定食屋自体が麻布十番では珍しく、実家に帰ったかのような家庭料理が食べられる貴重な場所だ。

 

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おでん定食 750円(ランチタイム)

麻布とは思えない手頃さ!

大根の芯まで味が染みていることから、じっくり丁寧に作られていることがわかる。

醤油とだしの風味がよくきいていて、

少し冷めてもコンロで温められるので最後までほくほくのおでんを味わえる。

 

 

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しそフライ定食 1100円(ディナータイム)

おかずからみそ汁までボリュームがたっぷり。

定食屋となると味付けが濃い店も多いが、ここは決してそうではなく、優しい味付けなのにご飯が進む。

身体のことが考えられた栄養バランスの取れたメニューだ。

 

 

建物をみると昔からあるように思えるが、「十番のおばちゃん」としては2周年を迎えたばかり。

開業したのは店主を務めるFumikoさんだ。

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4年ほど空いていた物件で、ダメ元で管理人に打診したところ承諾をもらい、お店を開くことになった。

それまではスーパーでパートのおばさんをしていて、飲食店の経験はなかったという。

 

麻布だったらもっと高価にしてもいいのでは?と聞くと

「毎日のご飯だから高くしたらだめでしょ。手ごろな値段で食べてもらいたいの」と笑顔でFumiko さんは答えた。

 

なんて温かいのだろう。

十番のおばちゃんというより〝お母さん〟だ。

心まで満腹にしてくれる魅力がここにはある。

 

 

 

お店は庶民的でもお客様は別

 

店の雰囲気はおばちゃんのおかげでとてもフレンドリー。

おばちゃんが常連客に配膳をお願いするほど仲の良い様子。

お願いするばかりではなく、お客さんからの「身体にいいものが食べたい」といったメニューにはないリクエストにも応えてくれる。

そんな気心を知れた空間にいると、家にいるような安心感がいつのまにか生まれてくる。

 

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二階席。ご覧のとおりまるで家。

 

おばちゃんを通じてお客さん同士で自然に会話が弾む。

 

同席した20代の男性は常連客。

普段外食が多くなってしまう分、ここで作ってくれるご飯は家と変わらないのでありがたいという。

 

「お仕事は何をされてるんですか」

 

男性「仕事は政府系の堅い仕事してるんですけど、今度転職してサイ○ーエージェントに入ります

 

「え!!」

 

サイ○ージェントといえば派手な社風で有名だ。

 

麻布っぽい…。

 

「そんな堅い仕事からサイ○ージェントなんて大きな方向転換ですね」

 

男性「もともと大学時代パーティーとか好きでチャラついてたんですけど、たまたま堅い仕事ついてちゃって。でも元いたところに戻る、みたいな」

 

「ちなみに大学は…」

 

男性「慶応です」

 

麻布っぽい…。

チャラいというワードからまさかと思ったが、やっぱり慶応だったか…!

 

 

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もう一人の男性客は中年くらいに見えるが、焼けた肌がとても若々しい。

 

今日は、自分の持っている時計がいくらになるか、銀座のお店を10店舗ほど回って査定していたらしい。

 

「買い取り金額は店によってかなり差がありましたか?」

 

男性「あったよ。」

 

「だいたいどれくらいですか?」

 

男性「それね…聞かないほうがいいよ、ひいちゃうから(笑) 値段きいて、『それ時計ですか』って聞き返したくなるような金額だと思うよ(笑)」

 

そう語る男性客はちょっと、いや結構自慢げだった。

 

…やっぱここ麻布だわ!!

 

来てるお客さんのレベルが違う…!

 

どんなにお店が庶民的に見えてもお客さんは麻布クオリティをしっかりキープしていた。

 

出るわ出るわ意外な一面

 

こうやってセレブ街の散策すると意外な一面がどんどん出てきた。

 

 

 

青山にだって道端には100円自販機が並んでたり、

 

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高層ビルの下にはスラム街っぽい落書きがあったりする。

 

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ちょっと路地を入ればこんな下町っぽい写真も撮れちゃう。

でもここは青山。

 

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麻布に廃墟があった。

都立麻布保育園。

建物の後ろに六本木ヒルズと高層マンションがのぞき、コントラストがまぶしい。

 

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麻布と怪しい宗教の看板で、高貴な街の印象がプラマイゼロになってた。

 

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駅近のえびすストア。

戦後の闇市が発祥らしく昭和の光景が残る。

 

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魚屋さんと八百屋さん。

 

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ここは市場か…?

いや恵比寿なんだよね。

真っ赤なEBISUジャケットを着るおばちゃんもイカす。

 

レジなんて籠だった。

間違っても電子マネーなんて導入しないでほしい。

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駅近の自由が丘デパート

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デパートといっても個人商店ばかり。
「アパレルショップ」というより「婦人服売り場」と表現したくなるようなお店が並ぶ。

ここも闇市が発祥らしい。

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よりみち横丁。
こんな細道のディープな飲み屋街があったとは。

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店の張り紙が落書きされていた。

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「また休みかぁ~僕は何も要求してない!ただのみたいだけです」

自由が丘にもしょうもない酔っ払いはいるようだ。

 

自由ヶ丘クラブという飲食店が入った建物。

周りのおしゃれな店の存在感が薄れてしまうほどの貫禄がある。

かつてダンスホールとして使用されていたらしい。

 

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極めつけはコレ。とあるマッサージ店の看板。

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消費税無料サービスって何!?

こんな荒技が自由が丘で通用するとは。

 

 

 

 

麻布は案外古いお店も多い。

 

創業70年の金物店。

「いまは飲食店が多いけど、地下鉄や六本木ヒルズができる前はウチみたいなモノを売るお店が主体だったんだよ」と店主のおじさんは教えてくれた。

当時の麻布を背負う貴重な存在だった。

 

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創業87年の家具店。

この看板の迫力は新築のビルには出せない。

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創業108年の洋服店。

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パジャマを「ねまき」と表現する文化が麻布にあるなんて。

ネグリジェのイメージだったよ。

 

 

 

 

…なーんだ!

セレブ街といってもこんなに意外な一面があるんだなぁ!

 

いままで世間のイメージに一生懸命応えてくれてたように思えて、「セレブ街もいろいろ大変ね~」なんて労いの言葉をかけたくなった。

 

セレブ街がお高く留まった場所じゃないとわかったら、気になったところにどんどん行ってみたくなった。

 

麻布のこのオンボロなお店…気になってたんだよね!

 

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まるでジブリ映画に出てきそうな圧倒的世界感。

…期待できる!!

飲食店みたいだけど、食べログは…

 

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すき焼き屋さんか~!すごくおいしそう~!!

 

ん…?

 

 

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た、高ッ……!

 

早くも挫折…。

まずは私がセレブ街に見合う人間にならなきゃな。