聖なる夜のとんでもないエピローグ
結婚相談所からハプバーまで巡る怒涛のクリスマスイブのスケジュールが終わりを迎えた朝6時。
とにかく早く自分の寝床につきたかった。
新宿駅へ向かう。
「おねえちゃん、いまから帰るの?」
丸山ゴンザレスに似たガタイのいい男性に声をかけられた。
服装はダボついていて歌舞伎町の怪しさに馴染んでいる。
「いまからさ、どっか遊びに行かない?」
このタイミングでナンパに遭ってしまった…。
もう今日はおなかいっぱいだ。
「俺おごるからさ」
「別に予定ないなら一緒にいてよ」
「すげーがんばっても遊んでくれない?」
いろいろと誘い文句を投げかけてくるが、適当に話を流しながら駅へ向かう。
男性は普段歌舞伎町でスカウトをしているという。
街頭に立つためにはヤクザにみかじめ料として3万円支払わなくてはいけない、などと聞いてもいないが歌舞伎町事情を披露してくる。
「ちょっとまって。たばこ一本付き合って」と言われ、かなり粘られたことに観念し、ここで話を聞けば気が済むだろうと了承した。
男「俺ね、めっちゃタイプなの。清楚な感じだし」
私「えぇ…?ありがとうございます…(さっきまでハプバーに行ってた女だぞ…)」
男「変な話だけど、パパになろうって思うんだけど」
私「パパ!?」
男「だって口説けなさそうだもん。週1で月20万」
私「えええ!?」
急に20万という数字を出され声が裏返ってしまった。
男「あんまり大きな声出さないで!その辺に知り合いいるから」
私「すみません…。えっと、そういう関係の人いるんですか…」
男「2人くらい」
いるのか…。ほんとにパパ活って存在するのか…。
男「俺、月300~500万は稼ぐの。20万くらいだったら全然稼いじゃうから。週一は毎回エッチじゃなくていいし、普通にデートとか。簡単なプレゼントとかご飯代も出すし。」
月20万…。私の今の給料より高い…。週一で…。
突然降ってきた定期収入チャンスに感覚がぶっこわれそうになる。
男「リアルの話、どこまでできるかによっても値段が変わるし。俺も遊びだからさ。お金を払って遊ぶというか。アナル使えるならプラス10万。ハプバーで人前でできるならプラス5万円、とか」
うわうわ…本気で言っているのかこの人…すごい世界だ…。
私「金でなんでも買えますね…」
男「どう?やってみえる?別にいやだったらいいよ」
私「…いやです」
お金を思うとほんの一瞬揺らいだが、言えた。
男「俺とエッチするのはいやだってこと?」
私「えぇっと…極端な経験は求めてないので(言葉を濁す)」
男「いろいろ経験すればいいじゃない。なんで壁をつくるの?もったいなくない?人生一回位しかないのに」
私「んーあんまり性欲ないんですかね…?(話を逸らす)」
男「性欲ないっていうよりあんまり経験ないから気持ちよさがわかんないんでしょ」
私「すごい持っていき方をしますね(論点をずらす)」
といった具合で男性は多少ごねたが、「ごめんなさい」とはっきり伝えると、諦めがついたようで「わかった。ごめんね、ついてきちゃって」と小さく謝罪をして去っていった。
最後の最後でパパ契約の話を持ち掛けられるとは…。
いつの間にか空が明るくなっていた。
目覚めると枕元にプレゼントが置いてあるクリスマスの朝だ。
もしかして今のがサンタさんからのクリスマスプレゼントだったのか?
サンタさんも冗談がキツイな、なんてくだらないことを考えてたら寝不足のせいもあって少し笑えた。
来年はまともなクリスマスを過ごしたいものだ。
12月24日を振り返る
実際に過ごしたスケジュール
10:00 出会い喫茶
14:00 結婚相談所
17:30 婚活パーティー
19:45 婚活パーティー(二回目)
22:30 婚活パーティー(三回目)@銀座
24:30 相席バー
27:00 ハプニングバー
6:00 パパ契約ナンパ
話した男性の数
出会い喫茶 8人
結婚相談所 0人
婚活パーティー 16人
婚活パーティー(2回目) 35人
婚活パーティー(3回目) 10人
相席バー 1人
ハプニングバー 15人
パパ契約ナンパ 1人
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合計 86人
今回行った場所の地図
忘れられないクリスマスになりました。